古典再入門

T先生の論文は専門家が読んでも内容がかなり難しいのに、書き出しから専門外の人でも面白く読めそうな魅力があっていつも憧れます。と、口にしてから恥ずかしくなった。
こういうのは黙ってこっそり憧れている方がいい。
それと、T先生に憧れるのは本当は研究方法の独特の緻密さが一番の理由。


小松英雄『古典再入門』。
土左日記の冒頭を解析するだけでたいへんな頁数を費やすも、テクストにどこまで肉迫していけるか、考え得るすべての可能性を見逃さないこの方法はとてもまっとうなものと思う。橋本治を読む時に似た、最後の一つの結論に向かってみっしりと追い込まれていく感じが面白い。

古典再入門―『土佐日記』を入りぐちにして


名曲探偵アマデウス」の地上波放送が始まって、初回がリストのラ・カンパネラだった。どこがいいかと言うと、番組のために新しく演奏を録音・撮影しているので、CDではほとんど見かけないラ・カンパネラの第1稿・第2稿・第3稿全部を初めて聞けて、嬉しいの。第1稿カッコいいな。メフィストワルツに通じる感じ。第2稿の硬さもめがねの優等生っぽくて悪くない。第3稿の夢のごとき神秘性と郷愁は言うまでもない。