2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

長めのよせあつめ

青空文庫で芥川「西郷隆盛」を読みました。主人公の日本史専攻大学生・本間さんの描写のこまやかさがよかったです。京都の旅館(俵屋ですて!)を出て列車に乗り、さらに座席を立って食堂車まで彷徨するゆううつさが芥川節。食堂車まで、というところに妙な…

此岸と彼岸

夜中に目が覚める。うーんと伸びたり左右へごろごろ。耳の横をサーッサーッと音を立てて血が流れていくのを感じる。川のようなものを思い浮かべる。枕元の携帯を矯めつ眇めつ。 声に出さず、鼻歌を歌う。 「嬉しい嬉しい冒険がぁ〜」

構図と画素

浅田さんのSP、ポージングがどれも素敵だったねー。子どもの頃によく見ていた人形を思い出しました。装飾過剰の宝石箱みたいなオルゴールのふたを開けると、真紅のビロードの台の上でくるくる踊り出す人形。すらりと伸びた長い手足、レースと花の衣装、重苦…

新・夢十夜

勤務先Kはもう冬休みで職場も閉まっているのだけど、閉まる前にあの資料を見ておけばよかった、と今さら思う段取りの悪さ。かと思えば勤務先Rでは、必要な人員がインフルエンザで急遽離脱。よく考えればどちらもたいしたことではないのだけど、ちらりと心が…

雨月物語

岩井志麻子『雨月物語』。上田秋成の『雨月物語』を、全編「妾(わたし)」という女の一人称語りに変えて書いた作品。「妾」が誰なのかはいつも各編の途中や最後に明かされるので、出だしで「今回の『妾』は誰だろう?」と考えながら読み始めるのがミステリ…

白いひつじ

長野まゆみ『白いひつじ』。「白いひつじ」は作中で謎の象徴、そして登場人物たちにとって心から大切なものの象徴。ラストで知らされた途方もない愛情にもう何も言えず。骨髄の話もすごいね。。。今までの長野作品とはひと味違う、胸がいっぱいになる読後感…

にちようび

思い立って近所の新しい整骨院に行きました。前に行ってたところは混みすぎて大変そうなので。しばらく通うつもりだけど、治癒までの道のりは遠い。私たちの冒険は今始まったばかりだ!(〜連載終了〜)(終了したらあかん) - 猫のいとしいところは、犬に比…

鳥フェチ魂

そういえば、ミヤコドリのことは、今年亡くなられた日高敏隆さんのエッセイのどれかにおもしろい話があったと思うんだけどー。『春の数えかた』かな。琵琶湖と鴨川を往復する時、彼らは、なだらかな斜線で徐々に高度をあげて飛ぶのではなく、まず上空まで思…

打ち上げ=うたげ、手を打って言挙げすること

今週は忘年会やら続いて、人にあたり気味。マイペースにゆっくり書けるweb日記はほんとに良い場所ね。 今週のこの感じはどこかで読んだなー。ええと… だれよりも気のきいたことをいおうとする話し手が、才気ばしった会話で客間の話題を独占してしまうことも…

朝ご飯なう

鴨川のミヤコドリが、このところ見るたびに元気いっぱいになってゆく。見るのは朝、同じくらいの時間。今朝は100羽ほどもいて、元気というより、もはや激しすぎる部類の動きをしている。四条大橋を渡る通勤者が何人も立ち止まって目をまるくして見ている。激…

踊る踊るよ

ちょっと読んでいたものにウェーバー「舞踏への勧誘」というピアノ曲が出てきました。明るく楽しい曲。YouTubeに管弦楽バージョン・バレエで踊っている映像があって、物語のある踊りをしばし楽しみました。 ほうっと終わりまで見て初めて、ハッ、この赤い衣…

細縞

初対面の業者さんが紺地に白の細縞の入ったちょっと色っぽいスーツを着ていた。 打ち合わせの後、スプライトのスーツの男性は派手に見えるな、と危険なことを考えていました。 ストライプだった。あぶない…。

時代の音

ちょっとした合間に、東北学院大のサイトから、鈴木秀美「時代の音」という論文を。ガッチリ構築された難しい論文ではなく、エッセイに近い書きぶり。 http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/gakujutsu/kyoyo_154/index.html……バッハの楽譜には音の大きさを指示す…

マフラーで思い出し笑いをチョイと隠す

シューベルトのセレナーデは恋人の窓の下に立って「愛しい人よ、出ておいで、一緒に幸せになろう」って呼びかける歌詞がついているのだけど、Yさんが「恋人の窓の下で歌うって夜這いかける歌?」「夜這い前奏曲」「夜這いセレナーデ」と言って、反論すればす…

コッパード

短編集なので、ちびちびと。 1編目、眠たくなるような夏の日盛りのもとで起きた不可解な出来事の理由が一言も説明されず、本当にそんな出来事が起きたのか、登場人物の誰かが実は狂っているのではないかという疑いも浮かび、圧倒的な謎にへなへなと座りこん…

布がたくさんあると

布は「そと」と「うち」の関係を曖昧にする皮膜。まるはだかのくっきりとしたラインとは違う。 そして布/はだか、の関係性はあちこちに簡単に投影できてしまいそうで、ちょっと自重中。 無印良品に寄って足なりシューズを買い(無印のやわらかい布靴はこれ…

最近、バッハさまはマルティン・シュタットフェルトさんの演奏なんかを聞いておりますよ。 家で動画を見て(聞いて)いるだけで、演奏会で音が洪水になるあの華やかな雰囲気を想像させてくれるピアニスト。

何何何何

グレン・グールド、坂本龍一セレクション〜バッハ編のジャケ写がすごいですね。 顔がきれい。 「いくらなんでも…」とか「さすがにそこまで…」とか、修飾句だけ言いかけて、それすらも途中で絶句してしまいます。商品としてはベタなキメポーズなのに、欲望を…

小さな包み

「だんな」 「なんだ」 という呼びかけ/返答がワンセットになったやり取りが江戸落語にありまして、亡くなった円楽さんがお妾さんネタの小噺でよく入れてみたいなんですけどね、悋気の火の玉のマクラなんかで。 声を出して笑うほどおもしろいクスグリではな…

笑え!

おれには、ひとりではジャズはできない、という考えが常にある。だが(セシル・)テイラーはそうではない。彼の音楽は彼ひとりのものだ。(「セシル・テイラー 蜜月の終り」より) なんと安易に、おれたちはいってしまうのだ。これではまるで、節操というも…

ポン!と

PCメールの着信音がピアノによく似た電子音。とくにブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」の最初の和音にそっくりなので、メールが来るたび、そこから1曲始まるんじゃないかと思わず期待してしまいます。いやいやいやメールですから…みたいな。対世…