2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラームス、パガニーニの主題による変奏曲

緑の茎。 植物に触れる指の曲がりに目を奪われていた。ある人の。 今週の柳月堂は、ブラームス「パガニーニの主題による変奏曲」。ゲザ・アンダさんのピアノ。古い録音で、ごうごう鳴る低音が魅力的。男性的で品格のある演奏だった。生演奏で聞きたいな…。指…

甘やかな帰属

夜半から続く雨は、いまだ細い糸のごとくに花壇の緑を打っていた。煙るような時刻の、真っ白い早朝である。私はすっかりと身なりを整えて、玄関に立っていた。こうして美しい外界に出かける朝はいつも思うのだが、どうして自分はいちいちこの部屋に帰ってき…

読んだ本。

中山可穂『白い薔薇の淵まで』。語り手の「わたし」は30才の永作博美さんで。ちょっと小柄&ベビーフェイスなのが描写とずれるようだけど、顔よりも首やデコルテの肌のイメージから。骨細のからだに、女らしい肉と脂肪と皮膚がやわらかく、きれい〜について…

夕暮れの時はよい時、かぎりなくやさしいひと時。

小学校から高校までの国語の授業を、ほとんど覚えていない。『ある家族の会話』にちらりと詩が出てきたので詩の本が読みたくなって、岩波文庫2冊。三好達治の『詩を読む人のために』とアリストテレスの『詩学』を。『詩を読む人のために』は、ノるまでに3…

「りっぱなたてものだ」「くにがつくったにちがいない」

夜、ばたっと倒れるやいなや即寝成仏(町田康)。 「おはよう日本」で村上さんの『1Q84』の発売が生中継されてる…!すごい注目ぶり。そのうちに読もう。 中村紘子さんのエッセイ『どこか古典派』。日々、ネタの宝庫。世界的な地位を確立した芸術家という…

火のような水

うがいのための水に塩を加えました。異様に咽喉の奥に入りやすくなり、気管にちょっぴり入って相当酷いことになりました。咽喉を炒めた、もとい、痛めたわね…。思えば、海でむせると辛い。水は大好きだが悩ましい。 裁判員制度が始まりましたね。今後、被告…

読んでいた本はナタリア・ギンズブルク『ある家族の会話』(白水uブックス)。 先日は山口瞳の『血族』(文春文庫)を読んだ。この2冊の選択には深い意味はないのだけど、希有な共通点がある。どちらも自分の家族の歴史を語っていて、すべてを実名で書いて…

抜き足、差し足、勇み足

同僚が厄日だらけ。一人はかばんをあけるや激しい悲鳴を出したので驚いて見ると、かばんの中でお茶をぶちまけていた。午後、のんびりしていたらまた一人がやって来て、「おねがいが…」「すごく言いにくいんですけど…」「いえもう笑ってくれても…」となかなか…

秋のホテル

アニータ・ブルックナー『秋のホテル』。面白かったねー。 旅館とホテルはどこが違うのだろう。単なる旅行ではなく何らかの事情があって、旅館やホテルに長期滞在する人々。ホテルは密室性が高い。『一九三四年冬──乱歩』で乱歩はホテルに閉じこもって外界を…

バス代 320円

財布には、だいたい3000円〜10000円のお金を入れている。突発的にコンサートに行きたくなった時だけ、ちょっと困る(関西のコンサートホールはクレジットカードが使えないところが多い)。 そんな私がここ1、2年「お金かけてる〜」という実感があるのは、バ…

しなやかに伸びやかに

今朝、天橋立を見渡せるマンションにこれから入居するという夢を見た。霊が出るマンションだとは知らずに契約したのだった。窓ガラスにはりつく霊から透けて見える絶景。ブラボー。しかし甘美な日々を期待している。

ずれる

ボーイフレンドデニムというその響きは誰のせい? 店員さん「今履いてらっしゃるボーイフレンドデニムと合わせて〜」 娘さん「そうですね、ふとめのジーンズと合わせたりね。」 ほぼそこは訂正する。

充実感

自分好みのカップルを見ると、なぜこんなにも充たされた気分になるのか。 なぜだろう。なぜかしら。いや、理由はわかってるのよ笑。 職場に、感じのいい女性がいる。今日はきれいな藤色の短ワンピに、茶色のサブリナパンツを着ていた。髪は去年はボブだった…

それはそうと、

それはそうと先日、アンソロジー『ごちそう帳』から国分一太郎「食うえ物」という随筆を読んだ。「わたくしたちは、川へ行けばエビを食った。水でザワザワッとすすいで、生きているやつをなまで食った。」という始まりから素朴で心をつかむ文、山形の筆者の…

ハイライト

母の日、実家にミニバラその他の鉢植え詰め合わせを送った。フラワーアレンジメントだとねこがつぼみを食ってしまうので、しっかりした鉢植えを希望されていたのだった。花屋で選んだのが木曜の夜。一日中しとしとと雨ふる中できれいに見えた色を選んだけれ…

さりげない

アクリルとコットンの半袖カーディガンを着ておりました。 静電気なのか、洗濯物をほしたり室内を拭いたりする動きのところどころで、不意に背中に「ぺたっ」とはりつきます。さんさんと降り注ぐ初夏の陽光の下、カーディガンが陰湿な霊のような動きをする瞬…

狩人の血

一昨日の夕方は、京都府勧業館の古本市に。 その日の店じまいまで50分ほどしか時間がなかったので、普段でも行ける京都市内から出店の古書店は飛ばし、大阪から来た古書店を一気に見て回りました。狩人の血が騒ぎ、いろいろ買いこんでさっそく読んでます。 …

濡れ甘納豆

先日、松岡正剛の『千夜千冊6』をぱらぱら立ち読みしていて、泉鏡花の短編を「濡れ甘納豆のように」何日もつまみ読みしている、という一節が。 あの松岡正剛が、なんとじじむさい比喩を…(しかもただの甘納豆じゃなくて「濡れ甘納豆」…)と激しく釈然としな…

私小説とわたし

群ようこ『贅沢貧乏のマリア』読。森茉莉の独創的な文章に心底からの敬意を表した中野翠さん。 さらに丹念に文章を読みこみつつ、森茉莉と「森娘」に思いをはせたのが(“お茉莉は本当に天然だったのか?”)笙野頼子さん。 文章からそのまま常識的に作家本人…

吾妹子哀し

青山光二『吾妹子哀し』(新潮文庫)。おもしろかった。河野多恵子さんの『秘事』と並ぶ夫婦小説として名前をあげている人がいたので興味を持った。90歳の夫婦の話で、認知症の妻を夫が世話するもの。哀しさはあれど、なんともいえない、ほほえましい筆致で…

スマートなコント

知的でおもしろい授業、おもしろい芝居やコント、おもしろい時間というのはいろいろパターンがあって、中でもスマートなのが、まず最初に意味のわからない単語がいくつか出てきて、受け手は「?????」となるのですが、1時間後には私たちはそれを全部知…