留守
四国新聞、毎週月曜の川柳の題が今週は「留守」。選者の吹田朝児さんの詠がよかった。
皆どこへ行ったシャッター閉めたまま
いきなり自由律の句だし。
肝心の時には誰もいてくれず
ものすごいがっくりくる二句目。
予想したとおりの花が留守に咲く
季語使わなくても花が次々に咲く夏の空気をただよわせる。これらの三句が並んで、何らかの生き生きした風景が目に浮かぶ。そしてその風景は句を読んだ読者たちそれぞれで違っているだろうと思う。心の中にどういう風景を持っているか、人によって少しずつ違う。
明治以降の俳句の「写生」は西洋から影響を受けた自然主義の延長にあり、不自然な感じを克服するのに時間がかかったが、俳句が苦しんだものを川柳がたまに楽々と飛び越えるのだった。