長めのよせあつめ

青空文庫で芥川「西郷隆盛」を読みました。主人公の日本史専攻大学生・本間さんの描写のこまやかさがよかったです。京都の旅館(俵屋ですて!)を出て列車に乗り、さらに座席を立って食堂車まで彷徨するゆううつさが芥川節。食堂車まで、というところに妙な既視感があって、芥川は綺麗な食べものにこの世の光を見るようなところがあるのかも。
そしてクライマックスは、しっかりしているようでとりとめのない若者vs突拍子もないようで揺るぎない老人の勝負。
本間さんのやるせないフラフラが歴史研究の恣意性批判や当時のアカデミック批判につながっていくところも、なるほどと思いました。

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雑誌で源氏物語がどのように後続の物語群に受け継がれたかという論文を読み、研究者の中に「源氏物語の完成度はやっぱり飛び抜けてすごいよねー」という前提が完全に共有されているのをあらためて感じた先日。そしてその夜、webでたまたま「源氏物語って古典と割り切って読むと面白いけど小説としては過不足多すぎるよねー」という感想を見かけました。
「小説」というジャンルとか、創作の「ひとまとまり」の単位をどう考えるかとか、そんなことをおかずにその日の夕飯をかきこみました。

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地図を見ていたらメタボ阪急という建物が目について、なんて赤裸々なビル名なんだろう、強制断食でもさせられるのかしらと思ったら、「メタボリズム建築」からの命名のようでした。体型のメタボの方が後からできた用法だそうで、迷惑そうに眉をひそめるメタボリズム建築兄さん。

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赤い紐や茶色のクラフト紙など、手品のようにラッピンググッズを次々取り出す人の夢を見ました。