合間に

虐待された動物たちが次々に人間をぬっころしていく『動物好きに捧げる殺人読本』(パトリシア・ハイスミス創元推理文庫)を読みました。ぜいはあ。はあはあ。怖かったあああ。
その前に読んだ小林信彦『人生は五十一から』(文春文庫)はコラム集。映画の話など、東京で生まれ育ったゆえの文化的経験の蓄積が、地方出身コラムニストの追随を許しません。筆者が江戸川乱歩横溝正史をリアルタイムで知っていた・仕事でも関わりがあったというのがもうすでにハンデ50。松本清張も出てきて、ミステリの巨匠たちのシニカルでドライで人間くさい逸話がたいへん魅力的でした。
テレビや新聞の話題では、筆者の「日本人は戦時中も戦後も平成の世でもずっと愚か」という主張が表れていて興味深い。本書のコラムが書かれたのは長野オリンピックの年なのですが、小林さんが嫌だと言っていることが今の日本にさらにぴたりと当てはまっていて、感心するやら苦いやら。