電車のなか

それにしても外出はさむい。大阪に行くまでの電車も喫茶店も劇場も冷房ガンガンで超冷えました。京都のバスもさむい。
穂村弘『にょっ記』(文春文庫)より。

10月15日 我が性欲
電車のなかで、あたしのなかではナンバーワンだから、という声が耳に入った。瞬間、激しい性欲にとらわれる。
その声のひとを押さえつけて、耳のなかに舌を差し入れながら、何がナンバーワンなの、と囁きたい。
それは日本製?それは人間?

電車はさむすぎて、行きは小さい子の玉のような姿を見て喜んだり男子大学生が屋久島に行く相談をしているのを聞いて笑ったりするも、帰りはもはや冷えすぎて車酔いして半死にの動物のようになっていた。上記のような心うたれる妄想など、する余裕がない。

そうそう、植草甚一『小説は電車で読もう』と坪内祐三『文庫本福袋』(これも文春文庫)も読んだのだった。読んだものの感想を書き、それを誰かに読ませるということについて、この2冊は対称的に感じられ、どちらも面白かった。


にょっ記 (文春文庫) 小説は電車で読もう (植草甚一スクラップ・ブック) 文庫本福袋 (文春文庫)


『文庫本福袋』に出てきた文庫はほとんど全部を読みたくなる。『小説は電車で読もう』に出てきた小説もちろちろと心惹かれる。