甘納豆

ほろほろと生きる九月の甘納豆(坪内稔典


今日は研究会で奈良へ。
読んでいる本はあいかわらず昭和くさいものばかり。はやく平成にたどりつきたい。でも絶版になって図書館にもない本がケイタイの電子書店で安くダウンロードできることが最近わかったので、そのようなものをちまちま読んでいる。恥ずかしいので名は秘す。風俗(狭義のフウゾクね)に関する実録小説など。著作権があっさり売られてるんだね。。。
芯のない、ほろほろくずれる菓子のようなもの思いとともにガタンゴトンと電車に揺られる。


ちなみに上の句は当然ながら「九月」が季語になるわけだけど、これは連作になっていて、全部読むとかなりてきとーな作品(笑)。NHK教育にほんごであそぼとかにちょうどよさそう。

一月の甘納豆はやせてます/二月には甘納豆と坂下る/三月の甘納豆のうふふふふ/四月には死んだまねする甘納豆/五月来て困ってしまう甘納豆/甘納豆六月ごろにはごろついて/腰を病む甘納豆も七月も/八月の嘘と親しむ甘納豆/ほろほろと生きる九月の甘納豆/十月の男女はみんな甘納豆/河馬を呼ぶ十一月の甘納豆/十二月をどうするどうする甘納豆

12月の「どうするどうする」は寄席を思わせる囃し言葉。寄席と甘納豆といえば「明烏」という有名な噺もあり、寄席のおやつ=甘納豆という黄金のとりあわせ。「寄席」そのものは季語にならないのだけど、寄席はなるほど冬のものという気がします。春秋より冬か夏、かなと。