ホットケーキとシロノワール

ちょっと名古屋まで。


先日、大阪で喫茶店に入った。「自家焙煎コーヒーと手作りケーキ」と素朴でおいしそうな感じの看板が目にとまったのだ。文楽劇場の近く、黒門市場の商店街から路地を入ったところにあり、単に「庶民的」というよりもう一回りディープな大阪の空気を味わえるような地域である。まあちょっとひとやすみ、とカランカランと鳴る扉を押して中に入ると、店の奥ではサラリーマンが1人スポーツ新聞を読み、海千山千そうなおっちゃんが1人紅茶を飲んでいる。なんとなくすっぽりと落ち着ける雰囲気だった。独特の緊張感もなきにしもあらずだが。私はお腹がすいていたのでホットケーキを頼んだ。造花をいっぱいに生けた花瓶などを眺めながらもそもそ食べ出したとき、カウンターではマスターがバイトの女の子に「喫茶店とは」というテーマの語りを始めた。いわく、「喫茶店はな、『うちの店はここが得意』いうのを一つ持たなあかん」「コーヒーでもええし、接客でもええし、そういう個性を持ったらそういう個性の好きなお客さんが来てくれるようになるんや」「お客さんの心をつかまなあかん」「お客さんが求めるものを考えなあかんのや」。バイトの女の子はいかにも感心したように「はあ、はあ」とあいづちを打って聞き入っていたが、そのとき私は近年まれに味わう見事なホットケーキのまずさに音をあげ、「すいません、お水…」と弱々しく求める手を伸ばしていたのだった。このお店は、味とはうらはらに気分の上では充実して「ごちそうさま」とにこにこしながらお勘定ができるけれど、しかし、がんばって食べ終えたあと、お腹の部分が力つきて前のめりに倒れそうになるくらいまずい。それは事実だ。
こんな経験がたまたま数回重なって、最近、喫茶店の食べものにあまり期待をもてなくなっていた私なのですが、昨日、名古屋でついにコメダ珈琲店を訪れることができ、名物シロノワールが普通にとてもおいしいことにビックリしました。アイスコーヒーがグラスでなくブリキのマグカップで出てくることにもビックリ。コーヒーに炒り豆などのおつまみをつけるというのも、いったい誰が考えたのでしょうか…。店員さんの接客態度とかいう流動要素なんてもうぜんぜん関係なく、豆をぽりぽり齧ってむちゃくちゃまったりしてしまうじゃないか。
コメダには2回も行ってしまいました。
伏見で宿泊したので、栄までぶらぶら歩いてツタヤの観覧車に乗ったり丸善で立ち読みしたりメルサの無印でめがねを作ったり(京都で作りそびれていたので…)あおい書店で立ち読みしたり松坂屋のデパ地下で味噌ソースを買ったり、オアシス21の方へ向いていって巨大な噴水に驚いたり愛知芸術文化センターに入ってみたりして遊びました。そして、今年もモリコロパークジェフリー・バトル君を。バトル君がピアノが好きだと知ってうれしい。