狐の遣い方

パンフ(吉田文雀さんの談話)に新しいまめ知識が…。

 今は舞台で遣う狐(の縫いぐるみ)は全て小道具さんのところにありますが、戦前は個人持ちでした。今回の「葛の葉子別れ」以外にも狐の出る演目がありますので、そういう役を持ち役にしている人形遣いが、それぞれ持っていたわけです。
…もともと動物好きな私は、人形遣いになった当初から狐を遣いたいと憧れていました。そこで、いずれ遣えるようになりたいと、人形師の大江巳之助さんに依頼して狐の縫いぐるみを作っていただきました。私は今回も、自ら所蔵するその人形を遣わせていただきます。

あの狐、文雀さんのマイ狐だったのか。しかも名人・大江巳之助作だったのか。公演が終わったら文雀さんと一緒に自宅に帰るのか。文雀さんにベンジンで拭いてもらったりしちゃうのか。ブラシなんかかけられちゃうのか。
というか人形の頭と縫いぐるみの狐は同じ人が作ってもいいのか…。

 狐の遣い方にはいろいろあるのですが、私が師匠に教えていただいたのは、まず絶対に鼻先と尻尾を上げてはいけない。これをやると犬に見えるんです。背中にしわを寄せないことも大切です。そして、何か気配を感じた時にぴくっと耳を立てると狐らしくなる。

今までずっと知りたいと思っていた狐の所作のポイントがあっさり語られていて衝撃を受けました。「これをやると犬に見えるんです。」ってなんだろう、なんだかすごくショックだわ。狐の尻尾がわりといつも垂らされているのは気づいていました。