演奏会の記録を書くのも久しぶりだ。

オール・ドビュッシー・プログラム
演奏:デジュー・ラーンキ&エディト・クルコン
京都コンサートホール 小ホールにて


・牧神の午後への前奏曲(ピアノ連弾)
・6つの古代碑名(ピアノ連弾)
  第1曲 夏の風の神、パンに祈るために
  第2曲 無名の墓のために
  第3曲 夜が幸いであるために
  第4曲 カスタネットを持つ舞姫のために
  第5曲 エジプトの女のために
  第6曲 朝の雨に感謝するために
・小組曲(ピアノ連弾)
  第1曲 小舟にて
  第2曲 行列
  第3曲 メヌエット
  第4曲 バレエ
休憩
・白と黒で(ピアノ2台)
  第1曲 無我夢中で
  第2曲 ゆるやかに、沈痛に
  第3曲 スケルツァンド
・リンダラハ(ピアノ2台)
夜想曲(ピアノ2台)
  第1曲 雲
  第2曲 祭り
  第3曲 シレーヌ


印象に残ったのは、絵でいえば下塗り部分の美しさ。楽しい曲でも愉悦やユーモアを感じさせるタイプの演奏ではなく、華やかな高音より、低音の和音の厚みや色彩感の方に心惹かれました。端正で…というか余分なものがなくて、簡素で、でも厚みがあって。この世のものではない鬱金の色にふわあと包まれたようでした。
どの曲もドビュッシーならではのもやっとした不協和音や、人間の指の数を考慮していないようなややこしそうな音がとめどなく展開していくのですが、「6つの古代碑銘」で聴こえた鬱金色に惹き付けられ、ずっとそれを追いかけるような聴き方をしてしまいました。それはラーンキさんの個性かな。クルコンさんの音は時々ちょっと艶っぽすぎるように感じられたので。
ラーンキさんは、ハイドン集のディスクでもユーモアを出さない演奏が印象に残っていました。


「小組曲」の途中からホールが音でみっしりと充たされた感覚があり、後半の2台演奏は迫力がありました。
ラーンキさんとクルコンさんはご夫婦です。呼吸がよく合っていたと思います。


エンターテインメント性のやや薄い、繊細なプログラムなので、アンコールはおそらく無しの予定だったのでしょうが、拍手が長くやまず「リンダラハ」をもう1度。弾いてもらうのが申し訳ない気もしましたが。