カフェでバイオリンソナタの会。

バイオリン 田村安祐美
ピアノ   塩見亮
cafe Montageにて


ベートーベン バイオリンソナタ
 第1番 ニ長調
 第5番 ヘ長調
 第8番 ト長調


歌がねえ。シンプルで、骨太で、優雅で、それがすばらしく生き生きしていて。胸熱。ベートーベンはええなあ。


きっちりした演奏で、それをカフェの距離で直に聴くと、曲を形作るいろいろなパーツがよくわかって面白いものです。バッハのような対位法とはまた違うのだけど、リズムの掛け合い、跳躍の仕方、高い音と低い音のドラマチックな対比、明るさと暗さの移り変わり…激しく変わるところもあれば、微妙に移ろうところもある。曲全体で大きなドラマを描こうとする、構成への自覚がある。
でもそういった興味以上に、この夜は歌に聴き入ってしまいました。人間肯定の喜びに満ちたベートーベンらしい歌でした。


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ちなみに、このデュオをお聴きするのは2度目。今年の6月だったか、このカフェで同じデュオによるバイオリンソナタの会があり、軽い気持ちで行ってみたのです。
カフェのオープンが今年の5月、私は演奏者についても会場についてもまだ知識がなく、ついでに曲も知らず、ただなんとなくいい匂いがするな〜という程度で。
その時はフランク、モーツァルトグリーグソナタが演奏されたのですが、やはり気品高くもがっつり魂の入ったバイオリンで、3曲ともすばらしく魅力的でありました。フランクの晩年の曲から円熟期のモーツァルトの曲、そしてグリーグの若かりし頃の曲と、作曲家の年齢をさかのぼっていくプログラム。それぞれに生き生きとして、かつそれぞれの作曲家の書法が明確に弾き分けられていたように思います。作曲家のバラエティの分、ベートーベンの会よりもわかりやすかったかも。
カフェのオーナーが書かれたセンスのよいプログラムノートと開演前の短い挨拶、そして演奏それじたいが語るものを合わせて、非常にレベルの高い次元で「伝えたいものを伝える」ことが実現されている場所だとわかりました。
いいところです。京都にお住まいの方はぜひ。
http://www.cafe-montage.com/index.html